執行部
「……あの、九条さん」
「何だ? 飛鳥」
向かいに座っている九条さんはにっこりと微笑みを浮かべる。
「何で僕が書類の整理をしなければならないんでしょうか?」
「それは、飛鳥が執行部員だからだ」
何を言っているというような顔で言葉がよこされる。
「……僕は確か裏執行部ですよね」
「そうだが?」
「これ、表の仕事じゃないんですか?」
九条さんは一瞬きょとんとした顔をしたが、瞬間笑い出した。
「何を言ってるんだ。飛鳥。執行部の仕事には変わらないじゃないか」
「いつの間に一つにくくったんですか?」
「問題ない。飛鳥。お前の成績は十分に知っている」
「九条さん。何か違うところを見てませんか?」
何か別のところに重きをおかれそうでちゃんと釘をさしておく。
「大丈夫。お前はこの学園で5本の指に入るほど優秀だから何の心配もいらないぞ」
「僕が何の心配をしてるって言うんですか? 僕はこの雑事から解放を」
「という訳でこの書類もまとめて置いてくれ」
「……ほんと、自己中ですよね、あなたって」
深く溜め息をつく。いいのだろうか、あの人がトップで。
「諦めましょう、伊波くん。これは私たちの定めなんです」
「紫上」
「あれが総代ですから。あれが……」
紫上の視点が定まっていない。よっぽど何かあったんだろう。
「頑張ってください。伊波くん。執行部でまともに仕事できる人は限られてますから」
そう言って周りを見渡す。
高飛車の那須野、留年しかけの先輩、真田…。
「……そうだな、僕達がしっかりしないとな。これからもよろしくな、紫上」
「ええ、よろしくお願いします」
きっと、九条さんも執務から逃げるから紫上と僕とそれと若林の三人ぐらいでこの学園を支えていくんだろうなと思った瞬間だった。
(作成日:2006.11.29)